> あのさあ、目的の意味を表す不定詞の副詞的用法では、否定を示す時にnot to〜って出来ないルールがあるって参考書に書いてあるんだけど、どういう理由でそうなのだろう?
>
> take care not to〜とか、be careful not to〜はOKらしいんだけど、he hurried not to be lateはダメだっていうんだけど……
確かにそのような記述が多くの学習用英文法書に見られます。
はっきりとした理由は私にはわかりません。
ただ、どの文法書かは忘れてしまいましたが、以前読んだある規範文法書には以下のような内容があったような気がします。
「不定詞副詞用法の「目的」を表わすものは、本来"in order to do"の省略であり、口語的には"so as to do"の形も存在する。」
これを基に考えると、目的を表わす副詞的用法の否定は"not to do"ではなく、"in order not to do"や"so as not to do"の形にしなくてはなりませんね。
現に中高生向きに中高英語教諭が作成している自習用ウェブページの多くには
「"to do"「〜するために」の否定形「〜しないために」は"so as not to do"や"in order not to do"です。」
のように書かれているところを考えると伝統的な規範文法のそのような考え方が残っているということも考えられます。
尤も、そのようなページの中には
「「否定の目的」を表す場合には通例"not to do"は不可とされる。しかし、たとえば
I went to France not to study French, but to study architecture.
のように対比を表す場合は問題はない。」
のような記述も見つかり、全く不可ということではないみたいですね。
また、googleなどで検索しても多数みつかります。
たとえば、
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というのがあり、これなどはわりとまっとうな英語のような気がします。
そして、Quirk, et al. (1985)などにはそのような記述はありません。
この問題に関しては、文法的というよりは語用論的な問題のような気もします。
というのは、その「否定の目的」を表わす不定詞の内容が動詞に「デフォルト」で含まれていたり、
その動詞の内容から普通は「否定」が来ない場合が多いのではないかと思うから。
例えば冒頭の例にも出た
He hurried not to be late.
の場合、hurryの内容に「遅れないようにする」の意味も入っているように思われます。
だから、"He hurried."だけで成り立つんですね。
文法書の例などで「否定」になっている文例が少ないのはそういうこともあるのではないかな。
「目的」を表わす不定詞の典型的な例文に現われる動詞を幾つか挙げてみると、stop, leave, giveなどがあると思いますが、
「〜しないために止まった」「〜しないために発った」は良いにしても、
「〜しないための―を遣った」は日本語でも語用論的な問題がありそうですよね。
こんなんでどうでしょうかねぇ。
参考資料など
Google: 不定詞 副詞的 目的
Quirk, Randolph; Greenbaum, Sidney; Leech, Geoffrey; Svartvik, Jan; & Crystal, David. 1985. A Comprehensive Grammar of the English Language. Longman.
Yoshikawa, Yoshio. 1955. An English Grammar for Advanced Students. Tokyo: Bunkenshobo Press.
など
名古屋大学大学院国際化発研究科国際コミュニケーション専攻博士後期課程3年の廣瀬さんのご意見も参考にさせていただいた。